肩の痛みは、デスクワークによる長時間の同じ姿勢や、スマートフォンの操作、スポーツによる負担、加齢による関節や筋肉の変化など、幅広い世代で起こる症状です。軽い違和感のうちは「そのうち治るだろう」と放置される方も少なくありません。しかし、肩の痛みを放っておくと慢性化し、四十肩・五十肩や腱板損傷などの疾患に進行することもあります。
本記事では、整骨院の視点から「肩の痛みの分類」「主な原因」「整骨院で行う治療法」「今日からできるセルフケア」について詳しく解説します。また、放置した場合のリスクや、早めに専門家に相談する重要性についても触れていきます。この記事を読めば、肩の痛みへの理解が深まり、具体的な行動に移すきっかけとなるでしょう。
肩の痛みの分類と特徴
肩の痛みの種類

肩の痛みにはいくつかのパターンがあります。大きく分けると「急性の痛み」と「慢性的な痛み」があります。急性の痛みは、スポーツや転倒などによるケガが原因で突然強い痛みが出るケース。一方、慢性的な痛みは、長時間のデスクワークや姿勢不良、加齢に伴う関節の変化などが積み重なって現れます。
また、片側の肩にだけ痛みが出る場合と、両側に症状が出る場合があります。左右どちらかだけに出る場合は使い方や損傷による影響が大きく、両側に出る場合は姿勢や生活習慣、全身のバランスが関与していることが多いです。
日常で多い肩の痛み
現代社会で多いのは「デスクワークによる肩の痛み」です。パソコン作業では猫背姿勢が続き、肩甲骨が前に引っ張られることで僧帽筋や肩甲挙筋などに過剰な負担がかかります。また、スマホを長時間使用する「スマホ首」も肩の緊張を強める要因です。
さらに、スポーツによるオーバーユース(使いすぎ)や、加齢に伴う関節の変化によっても肩の痛みは発生します。
放置すると起こる症状
肩の痛みを放置すると、可動域が制限され、腕を上げる・後ろに回すといった動作が難しくなることがあります。いわゆる「四十肩・五十肩」と呼ばれる症状に進行するケースや、腱板損傷によって夜間も眠れないほどの痛みを感じる場合もあります。早めの対応が重要です。
肩の痛みの原因を知る
筋肉由来の肩の痛み
肩の痛みの大半は筋肉の緊張が原因です。特に僧帽筋や肩甲骨まわりの筋肉が硬くなると、血流が悪化し、酸素不足や老廃物の蓄積によって痛みや重だるさを感じます。肩こりが慢性化するのもこの仕組みによるものです。
関節や腱のトラブル
肩は人体の中でも最も可動域が広い関節であるため、その分トラブルも起こりやすい部位です。代表的なものは「インピンジメント症候群」と呼ばれる関節内で腱や筋肉が挟まれる状態、そして「腱板損傷」です。これらは腕を上げると鋭い痛みが走ったり、夜間に痛みで眠れなくなるといった特徴があります。
姿勢や生活習慣の影響
長時間のデスクワークや猫背姿勢、重い荷物を片側だけで持つ習慣なども肩の痛みの原因です。特に最近ではスマートフォンの普及により、頭が前に突き出る「ストレートネック」が増加し、それが肩への負担につながっています。
病気が隠れている場合も
まれにですが、肩の痛みの背後に頸椎ヘルニアや心臓疾患、胆のうや肝臓の不調が隠れている場合もあります。単なる肩こりと思って放置せず、違和感が続く場合は専門家に相談することが重要です。
整骨院での肩の痛み治療
徒手療法(マッサージ・ストレッチ)
整骨院では、肩や首まわりの筋肉を手技でほぐし、緊張を緩めます。
筋肉が柔らかくなることで血流が改善し、痛みやだるさが軽減します。
骨格・姿勢の調整
肩の痛みは、肩関節そのものの不具合だけでなく、体全体のバランスから影響を受けています。特に「骨格の歪み」や「姿勢不良」は、肩にかかる負担を増やす大きな原因です。
整骨院では、背骨や骨盤の調整に加えて「距骨(足首にある骨)」に注目した施術を行うことがあります。距骨は体の土台となる骨であり、足首の安定性や全身の重心バランスを左右します。距骨が歪むと歩行や立位姿勢に影響が出て、結果として猫背や肩の巻き込み姿勢を引き起こし、肩の痛みに直結するのです。
そのため、肩の痛みを改善するには、肩や首だけを施術するのではなく、距骨・骨盤・背骨といった全身のアライメントを整えることが重要です。全身のバランスを調整することで、肩にかかるストレスを根本から軽減し、症状の改善と再発予防につながります。
電気療法
アキュスコープ
アキュスコープは微弱電流を用いる治療機器で、体内の電気的な乱れを読み取り、必要な微弱電流をフィードバックする特徴が
あります。一般的な電気治療と異なり「体が必要とする電気を補う」ため、組織の修復や炎症の鎮静に効果的です。肩の急性の
痛みやケガ、スポーツ障害などに幅広く使用されます。副作用が少なく、安心して受けられるのも大きなメリットです。
ハイボルテージ療法
ハイボルテージは高電圧の電流を深部まで届けることができ、短時間で鎮痛効果を得られる治療法です。皮膚抵抗を抑えなが
ら強い刺激を深部へ届けられるため、関節や筋肉の奥にある炎症や痛みにも対応できます。
急性期の強い肩の痛みに特に有効で、痛みを素早く和らげたい方に適しています。
ハイチャージ療法
ハイチャージは体内の細胞を活性化させ、エネルギー代謝を高める電気療法です。ATP(細胞のエネルギー源)を増やす働きが
あり、回復力を高めたり疲労回復を促す効果が期待できます。慢性的な肩の痛みや全身の不調、疲労感が強い方に有効で、治
療だけでなく体質改善やコンディショニングにも役立ちます。
このように、症状や目的に合わせて「アキュスコープ」「ハイボルテージ」「ハイチャージ」を使い分けることで、肩の痛みに対して
より効果的なアプローチが可能になります。
運動療法
肩の運動療法は、単に筋肉を鍛えるのではなく「よく使われる筋肉」と「あまり使われない筋肉」のバランスを調整することが
目的です。
例えば、日常生活やデスクワークでは僧帽筋の上部や胸の筋肉(大胸筋)が過剰に働きやすい一方で、肩甲骨を安定させる下
部僧帽筋や前鋸筋は使われにくくなります。このアンバランスが続くと、肩が前に巻き込み、関節や腱に負担が集中して痛みを引
き起こします。
整骨院で行う運動療法では、弱くなりがちな筋肉を意識的に使うトレーニングを取り入れ、逆に過剰に緊張している筋肉は
ストレッチやリリースでゆるめます。こうして「肩甲骨まわりの筋肉全体がバランスよく働く状態」を作ることで、正しい姿勢が
維持され、肩関節への負担が減少し、痛みの改善と再発予防につながります。
つまり、運動療法は「肩を動かす力」と「肩を安定させる力」の両方を取り戻すアプローチといえるのです。
通院の目安
症状が軽い場合は月に2回程度、痛みが強い場合は週に1回程度の通院をおすすめします。
定期的なケアを続けることで改善と再発防止の両立が可能になります。
今日からできる肩のセルフケア
ストレッチ
タオルを使った肩甲骨ストレッチ
肩の痛みやこりを和らげるには、肩甲骨まわりの動きを取り戻すことが重要です。ここでは、ご自宅で簡単にできる
「タオルを使った肩甲骨ストレッチ」を紹介します。
やり方
バスタオルを細長く丸めて両手で持ちます。
両手を肩幅よりやや広めに開き、頭の上にまっすぐ持ち上げます。
息を吐きながら、タオルを後ろに回し下ろしていきます(肩甲骨を寄せるイメージ)。
息を吸いながらゆっくりと元に戻します。
これを10回繰り返します。
ポイント
背中を丸めず、胸を開くように意識する。
肩に鋭い痛みがある場合は無理に下げず、痛みのない範囲で行う。
デスクワークの合間に行うと、血流改善や姿勢リセットに効果的。
効果
このストレッチは、硬くなりやすい胸の筋肉(大胸筋)を伸ばしながら、普段使われにくい肩甲骨まわりの筋肉を動かすことができ
ます。肩の前側の巻き込み姿勢が改善され、肩関節の動きがスムーズになり、痛みやだるさの軽減につながります。
正しい姿勢の意識
デスクワークでは椅子の高さやパソコンの位置を調整し、猫背を防ぎましょう。
スマホは目の高さに近づけて操作すると負担が軽減します。
セルフケアの注意点
強い痛みがあるときは無理にストレッチや運動をせず、専門家に相談してください。
セルフケアはあくまでも補助であり、治療と併用することが理想です。
肩の痛みを放置しないために
肩の痛みを「ただの肩こり」と軽視して放置すると、関節の動きが制限され、日常生活に支障をきたす恐れがあります。服を着替
える、髪を結ぶといった動作が困難になる場合もあり、生活の質が低下します。
整骨院での診察を受けることで、痛みの原因を正確に把握し、症状に合わせた適切な治療を受けられます。何より「専門家に相
談している」という安心感が、前向きに改善へ取り組む大きな支えとなります。
「今日からできること」を始めつつ、痛みがあるうちは放置せず早めに相談することが大切です。
まとめ
肩の痛みは、筋肉の緊張、関節や腱のトラブル、姿勢の悪さ、生活習慣など、多くの要因が絡み合って発生します。放置すれば
慢性化や悪化のリスクがあり、四十肩・五十肩、腱板損傷などに進行することもあります。
整骨院での治療は、痛みの軽減だけでなく原因を特定し、再発を予防するアプローチが可能です。さらに、自宅でのストレッチや
姿勢改善など「今日からできるセルフケア」を取り入れることで、改善効果はより高まります。
肩の痛みで悩んでいる方は、自己判断せず、ぜひ一度整骨院にご相談ください。この記事が少しでも皆さまの健康づくりに役立
てば幸いです。
エール接骨院のご紹介
エール接骨院は名東区藤が丘駅徒歩2分、提携駐車場完備の接骨院です。足の専門施術・距骨調整で、外反母趾や偏平足、姿勢や歪みを改善し肩こり・腰痛・スポーツ障害まで根本改善する整骨院です。
足・脚の不調対応(外反母趾・偏平足・O脚など)
体の土台を整えることで、下半身の悩みや体全体の不調を改善することができます。
スポーツ障害治療
交通事故治療
この記事を書いた人
エール接骨院 院長江里口隆之

経歴
- 滋賀大学教育学部卒業
- 米田柔整専門学校卒業
- サンマルシェわたなべ接骨院勤務
- さくらリバース治療院勤務
- 2009年 独立しエールながくて接骨院開院
2017年 エール接骨院に改名
資格
- 柔道整復師(2000年免許取得)
メッセージ
患者さんの健康にエールが送れるように考えて施術しています。しっかりと患者様の痛みや不調に寄り添いますのでどんなことでもご相談ください。
ご予約・お問い合わせ
当院は完全予約制でご案内させていただいております。
新規のお客様、ご予約をしていないお客様は、お電話・LINE・フォームより事前にご連絡ください。
【午前】10:00 ~ 12:00 【午後】15:00 ~ 21:00 (予約受付は19:00まで)
※土曜日の午後は18:00まで(予約受付16:00まで)
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